特別寄稿
フランスにおける助産婦教育
後藤 幸子
1
1福井県立短期大学第2看護学科
pp.579-584
発行日 1989年7月25日
Published Date 1989/7/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611207656
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はじめに
助産は人類の起源とともに始まり,その時代や文化・社会,あるいはその国民性に大きく関わり変容してきており,助産婦教育はそれらの影響を受けながら変遷してきているといえよう。フランスにおいては,1630年にパリ市立病院(Hôtel-Dieu)産婆養成所が設置されており,他のヨーロッパ諸国に比べ早くから助産婦教育が行なわれた国の1つであろう。フランスにおける助産婦は公衆保健法で専門医療職と規定され,助産婦法にその業務が記されている。かつてこの国での助産婦教育は,他の西欧諸国と同様に看護教育を基礎としてその上に積み重ねる形で行なわれてきた。
近年における受胎に関する医学の進歩と社会の変化にともない,子供の地位も変わってきた。つまり,有子数が1子という家庭が多くなり,人々の子供に対する期待が大きく,子供は以前にもましてかけがえのないものとなっている。こうした変化にともない,助産婦は特権的地位を得るに至っている。
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