今月のニュース診断
性別の自己決定権と戸籍制度
加藤 秀一
1
1明治学院大学社会学部社会学・性現象論
pp.886-887
発行日 2002年11月25日
Published Date 2002/11/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611902977
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性別訂正の拒否
性同一性障害の治療のための性別再指定手術(性転換手術)を受けた6人が,昨年5月,戸籍上の性別記載の変更許可を4つの家庭裁判所に申し立てたことについては,この欄でも触れたことがある(なお性別同一性障害という表記のほうが望ましいが,ここでは人口に膾炙しつつある性同一性という表記を用いる)。
これに対し,今年9月28日までに,関東地方の家裁が訂正を認めない決定をしていたことが明らかになった。報道によれば,決定は「性同一性障害について社会的認識が広まりつつある」と一定の理解を示したものの,出生時の性別判断は戸籍法上の訂正を可能にする「錯誤」には当たらず,訂正の法的根拠がないと判断したという(信濃毎日8月29日ほか)。
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