連載 今月のニュース診断
「父子推定」の法と現実―無戸籍児への対応をめぐって
斎藤 有紀子
1
1北里大学医学部医学原論研究部門
pp.522-523
発行日 2007年6月25日
Published Date 2007/6/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1665101029
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300日問題
離婚後300日以内に生まれた子どもの父親をめぐって議論が起きている。民法772条には現在,1)妻が婚姻中に懐胎した子は夫の子と推定する,2)婚姻成立の日から200日後または婚姻の解消若しくは取消の日から300日以内に生まれた子は婚姻中に懐胎したものと推定する,という規定がある。
離婚届提出から300日以内に生まれた子どもは前夫の子として登録されるが,母親(と現在の夫)がそれを望まなかった場合,届け出をせずに養育することがあり,その子どもの制度的救済のあり方が注目されているのである。いったん前夫の子として登録されても,裁判手続きに訴えれば,公的に記載を訂正する手段はある。前夫が「嫡出否認」(774条)を行なうか,関係者が「親子関係不存在確認」を行なう方法である。
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