特別寄稿
不妊患者の声—産婦人科外来における不妊相談より
花房 清美
1
,
杉田 夕子
1
1虎の門病院産婦人科外来
pp.315-320
発行日 2002年4月25日
Published Date 2002/4/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611902858
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はじめに
「子どもが欲しいのにできない」と悩んで,外来を訪れる人は以前から多かったが,最近さらに増えているように思われる。その理由としては,女性の晩婚化や社会状況の変化が考えられる。さらに,体外受精・胚移植(IVF-ET)や顕微受精などの生殖補助医療(以下,ART)の技術進歩に伴って,かつては妊娠を断念せざるを得なかった人に希望がもたらされるようになったことも,不妊患者の増加の一因となっているのではないだろうか。
夫婦の形態や社会状況がどんなに変化しても「子どもが欲しい」という患者の切実な思いはある。以前はあまり聞くことのできなかった不妊患者の声が最近,新聞,雑誌,テレビやインターネットを通して多く聞かれるようになった。それによると,不妊患者は身体的,精神的,社会的,経済的に過酷な状況の中で不妊治療を受けていることが窺える。
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