特集 不妊
不妊であることを通して
赤城 恵子
pp.721-724
発行日 1991年8月25日
Published Date 1991/8/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611900389
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女性としての喪失感
私が不妊であることを知ったのは,今から14年前。結婚後4年が過ぎ,とうに子どもができてもいいはずなのに……と,自分の体への疑いが広がりつつあった,29歳の時だった。
「小学生の頃患った腸結核が,子宮や卵管にまで影響したようてすね」。医師は「正常」とされる他の女性の子宮卵管造影写真と,私のそれを並べてそう説明した。障害のない子宮は逆三角の形状で骨盤の中央に納まり,卵管は左右にバランスよく伸びていた。一方,私の子宮は左側に偏り,形は小指のようで,大きさは小指にも満たなかった。卵管は左側だけその「小指」の先から細々と頼りな気に伸びてはいたが,やはり先端でブロックされていた。
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