連載 判例にみるジェンダー・13
内縁の夫による児童虐待死
石井 トク
1
1岩手県立大学看護学部
pp.172-173
発行日 2002年2月25日
Published Date 2002/2/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611902823
- 有料閲覧
- 文献概要
児童虐待の実態と法
わが国の児童福祉法第25条には児童虐待の通告規定があるが,関係者に十分知られているとはいえない。しかし,旧厚生省の1990年から児童相談所に寄せられた虐待相談件数の調査によると,1999年には過去最高の11,631件となり,90年当初の約10倍に増加している。表に現われない数はその10倍とみてよいであろう。やっと,2000年11月20日に施行された児童虐待防止法は,現状の状況を踏まえ,「親権」の制限,福祉関係者の立ち入り調査,さらに通告者の職種が明記された。しかし,残念なことに通告者の職種に「助産婦」は明記されていない。
児童虐待に至る動機には親側の育児の疲れ,孤独もあるが,深刻な児童虐待にいたる背景には,夫婦の関係,夫による妻への暴力も無視できない。
Copyright © 2002, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.