特集 21世紀のいのち
生命とは何か—35億年の連綿
長谷川 眞理子
1
1早稲田大学政治経済学部
pp.15-20
発行日 2001年1月25日
Published Date 2001/1/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611902560
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はじめに
最近のライフサイエンスの発展はめざましい。生命の科学は,つい20年ほど前と比べても様変わりしてしまった。クローン羊が誕生し,ヒトゲノムの解読が終わった。遺伝子組み換え食品が出回り,さまざまな生殖医療技術が可能になった。出生前の遺伝子診断もできる。これらは恩恵ではある。しかし,一方で,私たちはこのような生命科学技術の発展に不安を禁じえない。
それは,いのちそのものに人間が手をつけることに対する不安だろうか。われわれは,これまでなんとなくやってはいけないと思われてきたことにまで手を出し始めたのではないかという,漠然とした怖れは,誰もが抱いているだろう。
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