特集 21世紀のいのち
読者応募論文・1 21世紀につなぐいのち—自宅出産で上の子にいのちのバトンタッチ
白濱 奈々子
pp.21-24
発行日 2001年1月25日
Published Date 2001/1/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611902561
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新しいいのちの誕生
ついにここまできた。私の4人めの子どもの誕生だ。「あともう少しで生まれるよ。もう頭がそこにきているから……」。
間歇のほとんどない陣痛の合間に,しゃがんだ姿勢のまま,私は次女に声をかけた。言い終わらぬ間に次の陣痛の波が襲ってきた。一気にいきみが入る。つるりとした卵膜を隔て大きなボールのような頭,下向きの顔に手をもっていくと目と鼻が触れた。言い知れぬ衝動と感動が一瞬のうちに全身をかけめぐった。待ちに待った誕生まであとわずか。「ゆっくり,ゆっくり,ここはゆっくり……」と自分に声をかけた。(だめだ……)突き上げる陣痛の波。バっと破水した直後ずるり,ドドッと躯幹が娩出してきた。「ほら,生まれたよ」と言うと同時に,「すげえ……」と上の子どもたちは絶句した。
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