特集 周産期ホリスティック・ケア
東洋医学的アプローチによる周産期ケア—主として鍼灸医学的アプローチについて
矢野 忠
1
,
笹岡 知子
1
1明治鍼灸大学臨床鍼灸医学教室
pp.377-382
発行日 2000年5月25日
Published Date 2000/5/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611902400
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東洋医学からみた周産期
女性が妊娠すると月経は停止する。これを東洋医学では,臓腑の気血が衝・任脈に注いで胎児を養うためである,と説明する。特に妊娠期間中は胎児を滋養するために血が不足し,気は偏盛しやすくなる。したがって妊娠期間中は気血のバランスが崩れ,心身は失調を起こしやすくなる,と注意を促している。
妊娠期間中において気血の変調を起こす病因として,①怒・思・恐といった感情・情動因子,②寒・熱・湿といった気象因子,および③性生活(房事過多)や食習慣(飲食不摂生)あるいは過重労働といった生活因子の3つが挙げられている。その中でも妊娠・分娩・産褥が正常かつ自然に行なわれるには,感情・情動(怒りや嫉妬など)の変化を戒め,身体を冷やさないよう,日常の養生を勧めている。
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