特集 周産期医療事故—母と子を守る助産婦になる
岩手医科大学病院における母体死亡とニアミス症例
工藤 智彦
1
,
中田 尋晶
1
,
利部 正裕
1
,
小山 理恵
1
,
福島 明宗
1
,
吉崎 陽
1
,
松田 壮正
1
,
井筒 俊彦
1
,
利部 輝雄
1
1岩手医科大学産婦人科
pp.221-225
発行日 2000年3月25日
Published Date 2000/3/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611902365
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はじめに
わが国の母体死亡は医療技術やシステムの向上によって,あきらかに減少している。しかし統計によると,今日でさえ,年間に約100名の母体死亡が報告されている1)。新たな家族の健やかな子の出生を待ち望んでいる状況下で発生する母体死亡は,その家族に与える衝撃が非常に大きく,極めて不幸な事態である。
一方,妊娠・分娩・産褥という一連の経過は,不測の事態に陥る可能性が潜在しており,しかも,一度悪循環に陥るとその経過も早く,予後も不良な場合が多い。このような事態の発生を予測し,異常にすばやく対応し救命を図ることは,われわれ周産期医療者の大きな使命である。
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