特集 周産期医療事故—母と子を守る助産婦になる
周産期における医療事故被害者の心的外傷と助産婦の責務
野口 恭子
1
,
石井 トク
1
1岩手県立大学看護学部
pp.216-220
発行日 2000年3月25日
Published Date 2000/3/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611902364
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はじめに
近年,医療事故に対する社会の関心が高まり,リスク・マネージメント等による事故防止の取り組みが各医療機関においても行なわれるようになってきた1,2)。しかしながら,医療事故に遭遇した患者に及ぼす事故後の心理的影響についての検討は海外に若干の報告3)をみるのみで,わが国にはない。
医療事故を診療科別に分類すると,産科の事故は外科に次いで多く約20%を占め,領域別では,周産期領域が外科系,内科系についで常に上位を占めている4)。周産期における事故は,「子どもの出生」という幸せを目前にしながら突然に生じる事故であり,母体だけでなく胎児あるいは新生児の死亡や障害という他領域に見られない事故内容となる特殊性がある。
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