特別寄稿
アメリカのドゥーラを訪ねて
宮里 邦子
1
1広島大学医学部保健学科看護学専攻
pp.157-162
発行日 2000年2月25日
Published Date 2000/2/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611902350
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はじめに
「ドゥーラ」とはギリシャ語で“女性を援助する人”のことを意味する。文化人類学者のダナ・ラファエル女史は,伝統的文化社会に存在する“女性が母親になることを支える人物”について,「ドゥーラ」ということばを用いて述べている1)。それから数年後,小児科医のクラウス氏とケネル氏は,分娩中に継続して付き添って世話をする経験豊かな女性がいる出産では分娩所要時間が短縮されることや,生後1時間以内のいくつかの母性行動が促進されることなどを明らかにし,そうした分娩時の支援的同伴者を「ドゥーラ」と呼んだ2)。
クラウス氏らはその後もドゥーラ支援による分娩について実験的研究を重ね,さらに帝王切開率,鎮痛剤の使用,鉗子や硬膜外麻酔の必要性などがそれぞれ著しく減少したことを示している3)。これらの研究の功績は大きく,現代のドゥーラはアメリカで根づき,今日では多くの女性の出産をサポートしている。
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