特集 性同一性障害とインターセックス—その人が納得の性を生きるための支援
自己の性に違和感をもつ人を社会はどう対応してきたか
東 優子
1
1お茶の水女子大学大学院
pp.99-105
発行日 2000年2月25日
Published Date 2000/2/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611902340
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セックスとジェンダー
セックス(sex)は,「切る,分ける」という意味であるラテン語のsecareに由来する語で,「生物学的性」と訳される。性の発達は「男女という2本のまったく異なった道路があるのではなくて,実はわれわれ一人一人が男性あるいは女性のどちらかに方向づけられて進む,いくつかの分岐点をもった道が一本あるだけ」(p13)1)と説明されるように,複雑な過程により,男女に典型的な解剖学的特徴をもって生まれてくる児もいれば,その両方を兼ね備えたインターセックスの状態で生まれてくる児もいる。
さらに,人間の性はその生物学的要因によってのみ決定されるものではなく,出生後に社会化の過程を経る中で,様々な複合的要因の影響を受けることになる。つまり,「らしさ」と表現される自己の性格特徴・特性,あるいは性役割行動を習得していくわけであり,これが生物学的性と区別されるものとして,「社会・文化的性」=「ジェンダー(gender)」と呼ばれている。(ただし「ジェンダー」は学際的コンセンサスが得られた概念とは言い難く,混乱も多いため,概念整理として舘(1998)2)を参照されたい。)
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