連載 Dr.長坂の身体所見でアプローチする呼吸器診療・6
喉の違和感と痛み
長坂 行雄
1
1洛和会音羽病院 洛和会京都呼吸器センター
pp.1102-1107
発行日 2016年11月15日
Published Date 2016/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404206066
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喉の痛みや違和感の,一番多い原因は風邪,急性の上気道の炎症である.例えば,「くしゃみや鼻水が出るけれど,風邪かアレルギーか分からない」,という患者がいたとき,専門医でも区別は困難である.春のアレルギー学会でくしゃみをしている友人(喘息診療ガイドラインを作ったエキスパート)に「風邪か? アレルギーか?」と尋ねると必ず「分からない」という返事が返ってくる.
上気道炎の原因がウイルス感染かアレルギーか*1,の判断はしばしば困難である.発熱や関節痛,下痢を伴えば,おそらくウイルス感染である.発熱もなく,目がかゆい,などがあればアレルギーと考えられる.喉の違和感とくしゃみ,鼻水だけで始まったが,その後,喉が痛み咳も出る,というような例では,花粉症にウイルス感染が合併したのかと思うが確証はない.風邪薬のPL顆粒などには抗ヒスタミン薬もアセトアミノフェンも入っているので,アレルギー,ウイルス感染による上気道炎症状のどちらにも効果がある.
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