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助産婦がつくるEvidence-based Midwifery
ずいぶん前になるが,EBMの3大重要人物と言われるデビット・サケット(David L. Sackett)博士から,メールをいただいたことがある。インターネットの中にはメーリングリストというシステムがあり,各テーマごとに開かれているメーリングリストに登録すると,そこに登録されている人が送ったメールを受け取ったり,自分が送ったメールが登録している人全員に送れる。イギリスのメーリングリストであるが,EBMをテーマにしたものがあり(http://www.mailbase.ac.uk/lists/evidence-based-health/),そこで私が一通の質問のメールを出したことがきっかけであった。
私の質問というのは,Evidence-based Nursingに関する文献には,Evidence-based Nursing(証拠にもとづいた看護)という表現とEvidence-based Practice(証拠にもとづいた実践)という表現があるが,それぞれ定義はあるのか,という内容だった。たどたどしい英語で日本人が出したメールに同情してくれて,その後メーリングリスト内で,様々な国や職種の人からの様々なメールが飛び交い,結局はきちんとした定義がないらしいということがわかった。その中で,最後にサケット博士がメールを下さった。「私は発展途上国で医療を教えたことがある。そのときは,私たちが行なっている医療を教えたが,それを用いてその国の人がどう実践するかは,その国の人たちが考えることだ。同じように,看護職の人たちにEBMを教えることはできるが,それをどう実践するかは看護職が考えることだ」という内容だった。
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