特集 助産婦教育.どこで行なうか—質と量の確保
助産婦と看護婦:関わりながら相異なる2つの職種についての考察
フチ ひとみ 小沢
,
三砂 ちづる
1
Ruth Hitomi Ozava
1JICA東北ブラジル家族計画・母子保健プロジェクト・疫学専門
pp.314-320
発行日 1999年4月25日
Published Date 1999/4/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611902149
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はじめに
少し前のことになるが,ブラジルの産科看護婦の集会でオランダの自宅出産ビデオを観る機会があった。興味深いことに,彼女らの反応は2つに分かれた。一部の者たちは,感動的な出生の雰囲気に心から感じ入った様子であった。もう一方のグループは,無菌的病院環境でない出産のあり方に不快感を表明した。曰く「助産婦は殺菌エリアを確保していない」「手袋も常時使用していないし,普段の服装のままで仕事をしている」云々。わたしは,この相反する反応を,これがパラダイムの違いというものではないか,と感じたものである。
パラダイムとは,われわれの日々の仕事をサポートする価値観を提供してくれるものである。看護婦と助産婦は,そのありようにおいて対極の状況をあらわす。つまり,「病院出産」と「自宅出産」,「医師という職種の権威の補強」と「自律し,独立した職種」,「看護学に基づいた教育体系」と「独立した教育体系」等というように。
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