研究
助産婦業務に対する考察
青木 静子
1
,
坪井 久代
1
1東大助産婦学校
pp.6-8
発行日 1958年5月1日
Published Date 1958/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611201463
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民間に於ける母子衛生担当者として,長い歴史を持つ助産婦は,現代社会のなかで大きな壁に直面している.その障害をどのように乗り越えたら良いか,と云う事は助産婦全体の関心事の様に思われる.卒業を目前に控えた学生の立場に於いて考察した二,三の事項についてのべてみたいと思う.
第一に分娩数の減少と業務範囲について,終戦後数年間非常な高率を示した出生数は,人口動態統計によれば,昭和22年は約270万であり,人口1,000対33である.ところが昭和25年をさかいとして急激に減少を続け,昭和31年の出生率は18.4を示し昭和22年に比し半減している.この出生率の減少は一体いつまで続くのであろうか…….少くとも現在の貧困な我国に於いては終戦直後のような出生ブームは考えられないであろうし,又出生率が或程度迄減少したらそれ以下には減じないであろうと言う事は予想出来ると思う.次に分娩の立合者の問題をみるに,人口動態統計の出生概況によれば助産婦91.5%に対し医師4.5%であるが,昭和30年に於いては,助産婦79.6%に対し医師16.2%で医師の%が増加している.但しこの助産婦の立合の減少を医師のみによる助産の増加とみるより,医師と助産婦両者の立合のもとに行われる分娩とみる方が正しいであろうがしかし実際に於いて医師による助産数が増加している事も否定出来ない.
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