連載 とらうべ
看護職の「専門職化」追求に思う
鵜沢 由美子
1
1日本大学経済学部社会学・ジェンダー研究
pp.641
発行日 1998年8月25日
Published Date 1998/8/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611901983
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昨今の看護職の人気には目を引くものがある.高校生が将来なりたい職業も,小学1年生の子供を持つ親が子供に就いてほしい職業も,看護婦がトップ(女子の場合)という結果が相次いで発表された.また,OLなど他業種を経て看護婦を目指す転身組も確実に増えているという.私が教えに伺っている看護学校でも,学生は期待に胸をふくらませて看護婦になる夢を語る.「人に喜ばれて働き甲斐,やりがいがある」「社会の高齢化に伴い,より必要とされる」「一生続けられる資格を得られる」仕事と.また,卒業後のライフコースについて聞いてみると,毎回感心することがある.何らかの形で看護の知識・技術・資格を活かし,生涯関わっていこうという意欲に満ち満ちているのだ.
しかし,現実には看護職者が激しいストレスにさらされ,保健医療職の中でも,バーンアウト,いわゆる「燃えつき症候群」にかかる率が顕著に高いということは知られている.また,看護婦不足の問題は幾度となく世間の耳目を集めてきた.三交代制の激務,患者の生死と向き合う緊張,医師をはじめ他の保健医療職者との間の葛藤など,そのストレッサーを挙げればきりがないほどである.加えて,看護職者には,心優しく責任感が強く,頑張り屋が多いことは患者になったことのある人は誰でも,つまり多分皆が知ることでもある.
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