特集 異常分娩をめぐる最新マネージメント
妊娠期のルーチン検査(Ⅱ)—HIV,HCV,クラミジア
村田 雄二
1
1大阪大学医学部産科婦人科学
pp.296-299
発行日 1997年4月25日
Published Date 1997/4/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611901685
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HIV(human immunodeficiency virus:エイズウイルス)
産科における影響として,HIV感染は妊孕性,妊娠経過に影響しないが,CD4<400mmで免疫不全の場合は二次感染により妊娠経過に影響する可能性がある。また,妊娠がHIV感染の経過には影響を与える明らかな事実も示されていない。しかし,CD4低値で,日和見感染は増加する。
母児感染率は,診断,判定方法の方法論的差異や異なった集団における危険因子の違いなどで,国による差が見られる(ヨーロッパ14.4%,フランス18.3%,米国20〜25%,アフリカ35〜50%)が,感染力の強さはHBV(B型肝炎ウイルス)に比べれば弱いから,HBVの母児感染率よりは低いと思われる。母児感染の機会は経胎盤感染,分娩時感染,母乳による感染が考えられ,CD4低値,p24 antigenemia(+),ウイルス量増加が母児感染に影響を与える因子である。また,分娩時妊娠週数(満期前は感染率増加の傾向),他のウイルス(CMV,HTLV-1,HBV,HCVなど)との混合感染により増加する,陣痛発来前の帝王切開(以下,帝切),破水の有無,児頭採血や児頭電極使用(できるだけ行なわないのが望ましいが,どの程度影響するかは不明),娩出前の腟内の消毒などが母児感染に影響を与える可能性のある因子である。
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