特集 異常分娩をめぐる最新マネージメント
妊娠期のルーチン検査(Ⅰ)—B群レンサ球菌(GBS)
村田 雄二
1
1大阪大学医学部産科婦人科学
pp.289-295
発行日 1997年4月25日
Published Date 1997/4/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611901684
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
B群レンサ球菌(GBS)
GBS(B群レンサ球菌)が産褥敗血症の原因として確認されたのは1930年代後半であった。しかし,その研究で同時に発表されたA群レンサ球菌に大きな関心が持たれたために,GBSはそれほど注目されなかった。GBS感染症に関する臨床的研究は1960年代に再開された。その結果,多くの研究がなされるに至っている。
1年間に12,000〜15,000例の新生児GBS感染症が発生し,死亡率は5〜10%である。さらに,髄膜炎罹患児の50%に神経学的後遺症が見られる。GBSによる妊婦尿路感染症は1〜5%で,大腸菌と並んで,しばしば産褥子宮内膜炎の原因となる。症状がないが,集落形成が見られる率は5〜40%であるが,人種,年齢,風俗習慣,検体採取場所によって差が見られる。米国では白人,アフリカ系アメリカ人に多く,メキシコ人には少ない。日本人は多いのではないかと思われる。分娩時,母児感染率は,母体の集落形成の高度の例では感染率が高い傾向があるが,約25%は集落形成のごく少ないものである。
Copyright © 1997, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.