扉
急がず,足もとをみつめ,ふりかえること
植木 幸明
1
1新潟大学脳神経外科
pp.361-362
発行日 1973年11月10日
Published Date 1973/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1436200111
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脳神経外科の臨床は忙がしい.次から次と患者が入院してくる.検査をほどこし診断し手術をし,そしてその患者は退院してゆく.その間に外傷患者が運びこまれる.かけつけて診察し,直ちに必要な検査をほどこし,手術を行い,あるいはICUへ移す.こうゆう生活が毎日続くのである.習い性となる.兎に角前をみ,前をみての生活の続きである.ゆっくりふりかえることがなかなかできがたい.自分が手術をした患者の1例1例の経過を長くfollow upする余裕をともすれば持ちがたい.しかしだからといってそれで決してよいわけではない.真の臨床は,殊に脳の手術にかかわる脳神経外科は,慎重にfollow upしてこそ評価ができるのであって,術後の暫くの間の経過をみただけでは到底手術の評価の判断にはならない.
いろいろな手術の工夫を試みる.それがどうも調子がよいように思う.これこそその方法だと思いがちである,しかしこうゆう時にこそ最も慎重にfollow upを続けてゆくべきであろう.従来の方法との比較も決して簡単ではない.
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