研究・調査・報告
乳房トラブル(乳頭乳輪部浮腫)予防のための改良哺乳帯の作製と有効性の検討
廣瀬 ミエ子
1
,
中島 美恵子
1
,
小森 尚子
2
1長野県立須坂病院
2ワコールファミリーライフサイエンスアカデミー室
pp.161-165
発行日 1995年2月25日
Published Date 1995/2/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611901195
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はじめに
分娩後の女性の乳房の中で,乳房タイプIIb〜III型(図1)の占める割合は30〜40%であると言われている1,2)。私たちが当長野県立須坂病院の褥婦136名について調査した結果,IIb〜III型の割合は32.4%であった。その半数以上の褥婦に乳頭・乳輪部浮腫が出現している。そして,その出現時期は産褥初期の乳房緊満の時期と一致している。当院での比率から,日本の年間の出生数が120万人とすると,その褥婦のうちの約21万人に乳頭・乳輪部浮腫が出現しているものと思われる。
乳頭・乳輪部浮腫によって引き起こされる障害には,①乳頭・乳輪部の疼痛,②浮腫によって乳頭・乳輪部が硬くなり直接授乳が困難である,③搾乳や排乳が不十分になる,④乳頭に傷がつきやすい,⑤うつ乳や乳腺炎になりやすい,がある。これらは母乳栄養を推進するうえで,重大な障害となる。
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