特集 在日外国人母子のケア
すべての子どもは大切にされる権利がある
花崎 みさを
1
1フレンドシップアジアハウスこすもす園
pp.664-667
発行日 1994年8月25日
Published Date 1994/8/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611901079
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「子ども観」を見直す時期
ようやく「子どもの権利条約」が批准され,日本も「子ども観」を見直す時期がやってきた。長い間,子どもは大人の所有物,わが家の,わが血族の所有物であり,子どもの出世が親の老後の安泰でもあった。子どもは大人に保護されるべき対象であり,だからこそ子どもはそれを恩に感じ,大人にその恩返しをするべきだと考えさせられ,親や家を時には重荷に感じながら,しかし,その考え方にいつしか染まっていく。
日本では里親制度がなかなか伸展しないという現象がある。制度としては早くからあり,一部ではその普及に心を砕いているグループもあり,また,よい里親も存在するにもかかわらず,一向に社会化してゆかない。その一因がこの辺にあるように思うが,このことはまた日本社会の民主化度とでもいうべき問題に関連していて,私たち一人一人の生活のなかに,民主主義思想が定着してゆかなければ解決できない問題ではないだろうかと思われる。100年,200年の単位で徐々に育まれ培われ,民衆の必要によって定着していった西欧の民主主義思想を,全く違った基盤の上に継ぎ足したように導入し,またそれを基盤にして制度を整えてきた日本の姿をみる時,50年目の現在の姿は無理からぬこととも思わせられるが。
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