特集 妊娠糖尿病妊産婦のケア
妊娠糖尿病妊産婦のケア—助産婦の役割
福井 トシ子
1
1杏林大学医学部附属病院産婦人科病棟
pp.105-112
発行日 1994年2月25日
Published Date 1994/2/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611900960
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はじめに
妊娠糖尿病は妊娠中に起こる糖代謝異常であり,分娩後には正常化するものと定義されている。一方で昨今は,妊娠期間中に発症した糖代謝異常全般を妊娠糖尿病といい,インスリン療法の必要性や分娩終了後の糖代謝異常が持続するかどうかにかかわらず,血糖コントロールを厳重に行なうことが重要であるとされている。私たちが理解しておかなければならないことは,厳重に管理されなければならない理由,すなわち一見軽い糖代謝異常であっても,①真の糖尿病と変わらず子宮内胎児死亡や巨大児がおきること,②分娩後高頻度に真の糖尿病に進展していくこと,を認識することであろう。
妊娠糖尿病は臨床上最も多く遭遇するからこそ,助産婦は正しい知識をもって妊婦のケアを行ないたいものである。また,妊娠糖尿病は助産婦のかかわり方によって,母児双方に最もよい状態を提供することができるもののひとつであると考える。
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