特別寄稿
フィータル・ディストレスとは何か—特にアムニオインフュージョン例における検討
武久 徹
1
,
嘉本 和恵
1
,
藤岡 典子
1
,
橋本 美代子
1
1武久産婦人科医院
pp.902-910
発行日 1993年11月25日
Published Date 1993/11/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611900913
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フィータル・ディストレス(fetal distress)は「緊急を要する事態」に使われる言葉であるが,例えば米国の統計では全分娩数の1〜3%はフィータル・ディストレスのための緊急帝王切開になっている。しかし,フィータル・ディストレスか否かの診断が正確にできなければ,まだ胎児が十分の余力を持っている状態で無用の帝王切開(帝切)を行なう症例が増加する。反対に,胎児状態の十分な把握ができないと,胎児死亡や重症の後遺症を新生児に残す結果となる。
フィータル・ディストレスか否かの判断に最もよく使用される方法は胎児心拍数(FHR)モニタリングである。しかし,FHRモニタリングによる判断は,「安心できるパターン」の信頼度が極めて高い反面,「心配なパターン」が必ずしもフィータル・ディストレスではないことが難しい点である。
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