特集 産科婦長の役割
婦長の役割—看護管理の視点から
福山 なおみ
1
1筑波大学附属病院
pp.1052-1059
発行日 1991年12月25日
Published Date 1991/12/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611900465
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はじめに
患者に最善のケアを提供するためには,そのケアを可能にするための看護管理が必要である。これまでわが国は,「看護管理」の導入が大きく立ち遅れてきた。しかし,「看護管理」なしではケアの質の向上をはかりスタッフの業務に対する満足感を高めることはできない。実践における看護管理の責任を担う者はまず第一に婦長である。
今,出産をめぐる動向は大きく変わろうとしている。イギリスの人類学者で人間らしいお産を提唱し『助産婦の挑戦』の編著者であるShela Kitzingerは,「今,助産婦の中には,従来の産科処置に疑問をもち,助産婦による伝統的な介入を含め,あらゆる種類の介入を批判的に検討しようとする強い動きがある。また調査研究に従事する者も次第に増加し,助産婦はまさに変革の最前線を歩いている」1)と述べている。これは日本においても,同様のことが言えるのではないだろうか。この目標達成に大きな影響を与えるのが産科婦長(Head Nurse)の力である。産科婦長は,小集団の中で母子,夫や家族を含めた全人的なケアとそのケアをするスタッフの直接の責任者なのである。
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