MEDICAL SCOPE
アメリカで硬麻分娩急増
島田 信宏
1
1北里大学病院産科
pp.1042
発行日 1991年11月25日
Published Date 1991/11/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611900460
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分娩に麻酔を用いるいわゆる無痛分娩(正しくは麻酔分娩)は,諸外国から日本へも輸入され一部の施設では以前からひとつの分娩方法としてとり入れられてきました。もう亡くなられましたが,私たちの北里大学の初代の産婦人科教授であった長内国臣先生は,この方面の日本でのパイオニア的存在でした。しかし,一時期大変に流行した無痛分娩は,ラマーズ法などの普及で実施される率が低くなってきたのも事実のようで,自然分娩への傾向が強くなったと感じておいでの方も多いと思います。この傾向の原因のひとつは麻酔薬や麻酔方法にもあったようです。麻薬や全身麻酔剤による胎児への影響などを考えてのことが主な理由だったのです。
しかし,最近になって,硬膜外麻酔(以下,硬麻)という手技が発達し,大変によい麻酔方法だということがわかり,帝王切開をはじめとする多くの産婦人科の手術にも用いられるようになりました。最近の5年間ぐらいの間に,アメリカでは分娩にこの硬麻を用いる施設がどんどんとふえました。現在では,多いところでは分娩の70%が,少ないところでも30%ぐらいの割合で用いられています。平均すると,分娩の半数以上に使われているということです。皆さんのなかでも経験された方はおわかりでしょうが,実にスムーズな分娩が数多く経験されるのです。
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