診療室
腰椎麻醉による無痛分娩の批判
藤井 忠
1
,
岩本 和人
1
,
角銅 洋
1
1國立別府病院田ノ湯病棟
pp.125
発行日 1952年3月10日
Published Date 1952/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409200600
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- 文献概要
腰椎麻醉法は從來無痛分娩の目的には不適當とされ殆んど用いられなかつたが近時Adriani, Parmley (1946) Andros, Dieckmann (1948),Ahearn,Huton,(1948)等により夫々優秀な成績が報ぜられた。本邦でも岡山醫大に於てペルカミンSを用い種々なる高比重液について熱心に研究が行われている。私たちは又ペルカイン(比重1020)を用いて之を追試し,その成績の詳細は『臨床と研究』第28巻,第10號,昭和26年10月に掲裁發表したので此處には省略することにし,更に之に検討を加えてみたい。アメリカの様に殆んど原則的に豫防的鉗子を應用している國では,若し母兒に惡影響さえなければ,産道の完全麻痺,弛緩を來たす本法が最適な無痛法と云われるかもしれないが私共は豫防的鉗子の應用には反對で,實驗も努めてこの方針で進んだ。ところがこの方針では麻醉域を最低位のSaddle部分に止めることの必要である事が判明した。一方アメリカ文献中には麻醉域を恥骨と臍の中間に置き,麻醉域が低い際には頭側を低く傾斜して上昇させ,その結果呼吸困難を來たした報告すらある。本法の第1の缺點として血壓降下があげられる。實驗例50例中32%に20mmHg以上の降下を示し,最高血壓80mmHg以下の1例には虚脱の恐れが認められた。即ち虚脱發生の可能性を否定することが出來ない。
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