連載 新生児学基礎講座[臨床編]・25
未熟児の脳室内出血
仁志田 博司
1
1東京女子医科大学母子総合医療センター新生児部門
pp.935-939
発行日 1991年10月25日
Published Date 1991/10/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611900436
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1.はじめに
未熟児,特に超未熟児や極小未熟児がNICUの中心となってきた。これらの未熟児に見られる障害や後遺症,あるいは死亡の最大の原因は脳室内出血(intraventricular hemorrhage, IVH)であり,欧米においては超未熟児の実に50%以上にIVHが認められるという。わが国においては,新生児科医とナースの細やかな看護によって,IVHの頻度は欧米よりも低く,15〜20%であり,近年にはさらにその発生頻度は減少方向にある。しかしながら,より小さな,より未熟な新生児が治療されるようになり,IVHは依然NICUの最も大きな問題である。
IVHの原因は未熟性がその根源にあり,未熟児の成育限界を規定する最も重要な因子と考えられている。すなわち,どの程度の未熟児ならば出生時に生理的な範囲で起こり得る血行動態の変化に,IVHを起こさないで耐えることができるかという成熟度が議論されている。
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