特集 新生児は主張する
新生児に未来をみる—小児看護として新生児看護をとらえると
片田 範子
1
1聖路加看護大学
pp.880-885
発行日 1991年10月25日
Published Date 1991/10/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611900428
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はじめに
先日,1990年の出生率が1.53になったことが,新聞に掲載されました1)。それと同時に,老人人口の増加で,将来に不安を感じ,高齢化する社会への関心が高まっています。中国では,1人っこ政策がとられてから,13年目(1978年全国人民代表大会で採択)を迎え,そこから生ずる家族生態や生活への歪みが問題の1つになっています。世界的規模で人口問題が,人類にとっての将来の課題としてとらえられつつあります。
私がこれから小児看護の観点でどのように新生児の看護を見ているかを述べる前に,なぜこのようなことをいっているのかといえば,新生児室という空間で,小さな人たちを短期間ケアする現状の中で,その人たちが背負っていく将来に目を据えながら看護することが大切だと思うからです。本稿では,これから成長・発達を続ける人間としての新生児とその看護を考えてみようと思います。新生児のケアにかかわるのは,新生児室の看護婦だけではありませんが,しかし,あえて,普通の新生児室の看護ケアについて述べてみることにします。
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