特集 新生児と未熟児の問題
新生児の施設看護
折橋 多美
1
1日大病院産科
pp.55-67
発行日 1962年4月1日
Published Date 1962/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611202311
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はじめに
わが国の最近の乳児死亡率,新生児(生後第28日以内)死亡率は,戦後順調に低下し,乳児死亡率および新生児死亡率は10年間にそれぞれ半分に減るといういちじるしい進歩を示したが,しかし諸外国に比べると,なおわが国においては高く,改善の余地の多いことがわかる.また乳児死亡率が低下したといつても,乳児死亡の中で新生児死亡の占める割合は,むしろ次第に大きくなつてきつつあるということ,すなわち約10年前には全乳児死亡の約4割を占めるにすぎなかつた新生児死亡が,今日では6割近くになつており,この傾向は年々大きくなつていくようである.
このことは「生存期間別の乳児死亡」および「原因別乳児死亡の変化」という統計を見てもうなずけることで,すなわち今日乳児死亡率が低くなつて来たとはいつても,それは主として月齢の多い乳児の死亡が改善されたことと,後天的な原因によるものが大きく改善されたことで,言い換えると新生児や先天的原因,あるいは出生時に受ける原因による死亡の改善は,遅々として進んでいないということにもなるわけで,この点新生児期の看護に当たる私どもは,新生児の死亡改善という目的のもとにおいても,その責務の重大さを痛感させられる.
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