Nursing Study・7
新生児破傷風の看護
江口 篤壽
1
,
尾形 治子
1
1聖ルカ病院小児科
pp.50-55
発行日 1956年6月15日
Published Date 1956/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661911001
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I.症例
患児は昭和30年8月26日,都内助産婦経営の某産院で出生した。生下時体重は3.3キロで特記すべき異常なし。生後6日,9月1日夜,母親の乳嘴をくわえなくなり,翌2日には痙攣,牙関緊急等の症状が著明となり,某医により臍帯感染による新生児破傷風と診断され,当夜即ち生後7日に当院に入院した。入院時,上記の症状に加えるに強直性痙攣,無呼吸発作及びこれに伴うチアノーゼ等がみられた。たゞちに破傷風抗血清及びウインタミンを使用した。抗血清は当夜より6日間にわたり計141cc(84,600単位)を分割使用した。ウインタミンは1日4回6時間毎筋注を行つたが,第1回の注射後直ちに上記症状の軽快がみられた。痙攣,牙関緊急のため哺乳は相当の困難が予想されたので,ポリエチレンチユーブの経鼻挿入を行った。更に念のためペニシリンも併用,毎日30万単位宛で20日間つづけた。又フエノバール注射も使用した。チアノーゼ,無呼吸発作,牙関緊急及び上肢の強直性痙攣等の症状が次第に減退し,約3週間後には殆んど上記症状は消失した。本症の経過中発病第9日頃より脱肛がおこったが,用手整復,タンニン酸塗布等により約2週間で完全に治った。更に発病第31日より再び脱肛がおこり,且つ吐乳するようになつたが,これに対して数日前から止めていたウインタミン及びフエノバルビタールの投与により間もなく治つた。かくして経過中に殆んど体重減少もみられず入院64日で無事退院した。
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