特集 不妊
不妊症について
広井 正彦
1
,
川越 慎之助
1
1山形大学医学部産科婦人科学
pp.690-696
発行日 1991年8月25日
Published Date 1991/8/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611900384
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不妊とは
受胎可能年齢の夫婦が正常な性生活を営んでいた場合,結婚後6か月以内に60数%,1年以内には約80%,2年目までに約90%に妊娠の成立をみる(図1)。2年以上経ってからはじめて妊娠する例ももちろんあるが,極少数である。このようなことから,結婚後2年以上経過しているにもかかわらず妊娠しない状態を不妊といい,検査や治療の対象となる。従来は,この期間を3年以上としていたが,最近は2年とする傾向にあり,国際産婦人科連合(FIGO)でもこのように定義づけている。ただし,当然のことながら,数か月間避妊していたとか,夫婦の一方が仕事の都合などで長期間家庭を留守にするような事情があれば,この期間は不妊期間から差し引いて考えなければならない。
不妊症夫婦のなかで,結婚後一度も妊娠していないものを原発性不妊症と呼び,妊娠・分娩を経験した後に不妊になっているものを続発性不妊症として区別している。ここでは原発性不妊症を中心に述べるが,このような子供に恵まれない夫婦は本邦では約10%,つまり10組の夫婦のうち1組ぐらいが不妊症夫婦ということになる。
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