講座
不妊症について
小林 敏政
1
1都立大塚病院婦人科
pp.43-48
発行日 1957年11月1日
Published Date 1957/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611201369
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最近受胎調節や人工妊娠中絶が盛んに行われている世相であるが,子供のない夫婦が吾が子の欲しさは格別のものとみえて,妊娠を希望する人が可成りあつてその気持も熱心で深刻のものが多い.
まず不妊というと夫婦生活を営んでいながら,結婚後2〜3年たつても妊娠しない場合をいうのである.そして結婚後1度も妊娠しないものを原発性不妊症,1回或はそれ以上妊娠したことはあるが,その後,妊娠しないものを続発性不妊症と云い,之等を一子不妊症,二子不妊症と云つている.又夫婦のいつれかに受胎を絶対に不能にする因子があるとき絶対的不妊症,受胎を困難にしている原因があるとき比較的不妊症とする分類もあり,又先天的か後天的かによつて先天性不妊症,後天的不妊症とも云う.統計によると普通の夫婦は大体,結婚後満2年以内にその90%位妊娠するものであるから一生涯不妊のまま過す女子の割合はBrunenberg 8.8%,Simpson 12%,Prochownik 8%,穂崎氏 7.3%,安井氏 9.2%,秋元氏 9.6%で凡そ10%内外の数字があげられている.
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