連載 新生児学基礎講座[臨床編]・23
新生児期に見られる先天性代謝異常(1)
仁志田 博司
1
1東京女子医科大学・母子総合医療センター新生児部門
pp.436-441
発行日 1991年5月25日
Published Date 1991/5/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611900325
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1.はじめに
先天性代謝異常(inborn errors of metabolism)は,一つ一つの疾患は稀であるが,その種類は極めて多いため,全体として小児疾患の中に占める割合は大きく,小児200人に1人は何らかの代謝性疾患を有していると考えられている。先天性であるから,それらの疾患の原因はすでに出生時から存在しているのであるが,その多くは発育するにしたがって臨床症状が明らかとなるものがほとんどである。しかし,新生児医療における先天性代謝異常の重要性は,その早期診断と早期治療が致死的な疾患から児を救命するのみならず,一生涯にわたる中枢神経系の障害を防ぐことが可能な点である。先天性代謝異常の各々の具体的な内容は成書に譲り,本稿においては,特に新生児期に発症する疾患に焦点を絞って解説する。
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