今月の臨床 羊水
羊水の生物学
2.羊水中のサイトカイン—妊娠中毒症と免疫活性
越智 博
1
,
伊藤 昌春
2
1愛媛大学医学部周産母子センター
2愛媛大学医学部産科婦人科
pp.1240-1243
発行日 1998年10月10日
Published Date 1998/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409903416
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当初,免疫応答系細胞の細胞情報伝達因子として,リンパ球から産生されるリンフォカインと,単球・マクロファージ系細胞から産生されるモノカインが同定されたが,両者が多くの共通した生理活性を有し,同一分子も含まれていたことから,現在ではサイトカインとして包括されている.その後,サイトカインの産生が造血器細胞,内分泌細胞,血管内皮細胞など多岐にわたり,それぞれ重要な調節因子として作用していることが判明している.
サイトカインは,レセプターに結合することによって局所においてパラクリン調節またはオトクリン調節を介して,免疫応答,炎症反応の惹起,細胞増殖・分化あるいは傷害作用などを起こす.子宮・胎盤においてもさまざまなサイトカインの産生が確認され,これらが羊水中にも存在している.本稿ではサイトカインと妊娠中毒症(以下,中毒症と略す)の発症に関する最近の知見を中心に概説する.
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