特集 新しい周産期記録のあり方
妊産婦の援助に生かす記録—「妊婦の背景および経過表」の検討
菅野 峰子
1
,
平山 ミツヨ
1
,
阪井 胖
1
1兵庫県立塚口病院
pp.107-116
発行日 1991年2月25日
Published Date 1991/2/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611900259
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はじめに
当院では,妊娠から分娩・産褥への継続した看護をめざして,病棟の助産婦が外来妊婦の保健指導に携わっている。現代の妊婦は,多様化した価値観て複雑になった情報社会の中で,確かな相談相手もなく核家族として生活する場合が多く,妊娠・分娩・育児に対する考え方や知識の深さと生活様式は様々である。このような背景をもつ妊婦から,私たちは,妊婦の健康診査(以下健診と略す)や保健指導の場を通じて,限られた時間の中で必要な情報を収集し,その妊婦にとっての問題点をいち早く見出し,問題解決ができるように援助をしていかなければならない。また,病院の現在の看護体制では,1人の妊婦に複数の助産婦がかかわっていて,援助が断続的になりやすく,妊娠から育児まで一貫した援助ができるような努力が必要である。
そこで,保健指導,看護に継続性をもたせる一手段として,記録の改善を行なった。すなわち,①妊婦にとっての問題点が見出しやすい。②その情報と問題点,指導内容を次に指導する助産婦に伝達できる。③外来から病棟の助産婦,看護婦へと円滑に伝達できる。このことを目標に「妊婦の背景および経過表」(以後「背景および経過表」と略す)を作成し使用した(図1)。
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