特集 新しい周産期記録のあり方
周産期記録の特徴
橋本 武次
1
1順天堂大学医学部産婦人科学教室
pp.100-106
発行日 1991年2月25日
Published Date 1991/2/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611900258
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まえおき
分娩に立ち会った医師や助産婦は,その分娩に関する事項を記録しておく義務がある。その内容は妊娠経過から分娩,産褥経過,新生児の状態ならびにその間に行なわれたケアまで含まれる。最近の少産少死傾向を反映して,すべての妊娠に貴重児扱いが要求されている。そして妊婦の周産期管理は日毎に高いレベルとなり,その内容は多岐にわたり,管理する場所は分散されてきている。したがって周産期に行なわれた事項を忠実に記載することは至難の技であり,この診療記録が周産期医療の現場で最も嫌われている作業の1つになっている。
情報処理機器が進歩した現代では,当然この記録や臨床データの整理がもっと早く自動化されるよう期待されている。しかし現実には周産期に発生する母児の膨大なデータとケアの記載が依然手作業で行なわれている。デスクに向かって記載するのが度々時間外になるのをみると,一見無駄な作業のようにさえ思われる。この機会に周産期の記録について記載の種類と内容を整理して,その合理化を考えたい。
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