連載 気功の精神世界・16
自然の中から見えてくるもの
津村 喬
1
1関西気功協会
pp.894-895
発行日 1990年10月25日
Published Date 1990/10/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611900194
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ラップランド放浪
この原稿をぼくはラップランドの原野で書いています。テントもなしに寝袋だけで地面に寝て,午前2時の青空を見ながらのことです。
フィンランドに1ヵ月いたうちの大部分は電気も水道もないような湖畔の夏小屋や無人島の中で暮らして,暗くなればローソクを灯し,水は井戸か湖から汲んで来るという生活にすっかりなれてしまったのですが,そうした「自発的簡素」のライフスタイルの極めつけがバックパッキングによるラップランドの単身放浪でした。ラップランドは北欧3国とソ連にまたがる北極圏の広大な地域で,サーメとよばれる民族が住んでいます。サーメの文化も本当に知れば知るほど奥深いものですが,その自然環境がまたすばらしく,去年2度にわたって少しずつフィンランドの北3分の1を占めるラップの地にふれる中で,なんとか一人で当てもなく歩き回ってみたいものだとあこがれていたのですが,こんなに早く実現するとは思っていませんでした。
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