連載 「ゼロ」からはじめるオープンダイアローグ・4
批判としての「否定神学」
斎藤 環
1
1筑波大学医学医療系社会精神保健学
pp.186-191
発行日 2021年3月15日
Published Date 2021/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1689200869
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対話実践と精神分析
以前にもふれたように、オープンダイアローグのルーツの一つに、精神分析があります。しかし現在、対話実践の中で精神分析的な「手法」が用いられることはほとんどありません。分析の基本である「転移」「解釈」「徹底操作」のような技法は、むしろ好ましくないものとして退けられています。実際、対話実践は、反—精神分析と言ってもよいくらい、分析の発想とは距離があります。私はこの点がどうにも不可解だったので、その理由をセイックラに何度か尋ねたこともありますが、あまりはっきりした回答は得られませんでした。
とはいえ、この連載が目指すのは、対話実践と精神分析の技法的な違いをはっきりさせることではありません。両者は、技法的には多くの対立点を含みながらも、根本の思想は共有しているのではないか。この、私なりの仮説を検証することを目指しています。
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