クローズ・アップ
『和痛分娩器』で第30回「暮らしの発明展」特賞を受賞した 芳野ヤエカさん
八木 保
,
本誌
pp.641
発行日 1990年8月25日
Published Date 1990/8/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611900141
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「冷蔵庫,炊飯器,便利なものが次々に作られるのに,なぜ,お産の場は昔のままなのか.苦しいお産を楽にするものを何か作れないか」と,試作を繰り返して約10年.助産婦歴40年の芳野ヤエカさん(64歳)が発明した『和痛分娩器」が,第30回「暮らしの発明展」(全国発明婦人協会主催)で,科学技術庁長官発明奨励賞を受賞した.『和痛分娩器」の考え方は,呼吸法によってリラックスし陣痛を乗り越えようというもの.ベッドの脇に20cm四方の和痛分娩器を置き,産婦は陣痛がくると手元のスイッチを押す.するとプップップッという音とともに,赤ちゃんの顔のイラストがついた緑色のライトが左から右へと点滅.産婦はその音と光に合わせて,フッフッフッフーと息を吐いていくのである.
芳野さんは,助産婦免許取得後14年間続けた助産院を1962年に閉鎖後,松山市民病院(愛媛県)に17年間勤務.現在は,週末だけご主人の待つ松山市に戻り,平日は新居浜市の小西産婦人科医院で,3台の和痛分娩器とともに活躍中である.「時代の先を見ていくのが好き」という芳野さんの『和痛分娩器』,今秋にはトーイツより製品化の予定である.
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