ケースレポート
脊髄髄膜瘤児を出産した母とその児への援助
前田 隆子
1
,
仲田 豊実
2
,
川上 澄枝
2
,
杉原 千歳
1
1鳥取大学医療技術短期大学部
2鳥取大学医学部附属病院
pp.324-328
発行日 1990年4月25日
Published Date 1990/4/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611900071
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はじめに
妊婦は出産期日が近づくにつれ,生まれてくる児が奇形児ではなかろうかと多少の懸念を抱くものであるが,それが現実のものとなった際の精神的打撃ははかり知れない。奇形児を出産した際に示す親の反応については,多くの報告がある1,2)。また,乳児が心身ともに正常な成長,発達を遂げるためには,母親の愛情が必要であり,母と子の絆が重要であること,および母と子の絆の形成には出生直後の母子接触が有効であることが知られている。したがって,奇形をもつ児が出生直後に入院し治療を受け,母子分離となった場合は,そのことによって母親が児を受け入れられなくなる等の問題を起こすことのないように,可能な範囲で早期に母子の絆を成立させるよう援助することが重要である。
今回,脊髄髄膜瘤の術後例で,退院前に児の反応を引き出し,一方では母親に児を受け入れるための準備の働きかけを実施したので報告する。
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