特集 「遺伝」をめぐるサービス
看護職と遺伝相談
生田 恵子
1
,
松本 光子
2
1東京都衛生局公衆衛生部母子衛生課
2志村保健所
pp.822-833
発行日 1989年10月25日
Published Date 1989/10/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611207704
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遺伝相談は積極的に取り組むべき課題
疾病構造の変化により,遺伝性,先天性と考えられる疾患が相対的に増えており,臨床の場や保健所等の相談の中に遺伝にかかわる相談が増加している。東京都地域遺伝相談研究会の調査(表1)1)によると,小児慢性疾患の公費負担を受けているものの中で56%が,また,特殊疾病の公費負担を受けているものの中では,49%が遺伝性確実あるいはそれが疑われるものであった。
特に助産婦は病院等の産婦人科や小児科外来,出産および産後の病棟,あるいは母親学級,地域における新生児,妊産婦の訪問指導などを行なっているところから,遺伝にかかわる相談を受ける機会は多いと思われる。人は遺伝の問題を抜きにしては考えられない存在であり,全出生児の10%は遺伝的考慮が必要だといわれている。こうしたことからも助産婦をはじめ看護職は遺伝相談を避けて通ることはできない。後述するが,専門相談につながる前の最初の段階での受けとめ手として,看護職の果たす役割は大きいと考えるところから,むしろ積極的に取り組まなければならない課題である。
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