連載 新生児学基礎講座[臨床編]・5
新生児診断学⑤母体・胎児情報の読み方
仁志田 博司
1
1東京女子医科大学・母子総合医療センター新生児部門
pp.668-675
発行日 1989年8月25日
Published Date 1989/8/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611207675
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1)はじめに
新生児に限らずどの医療分野においても,診断学の第一歩は既往歴,現症歴の問診から始まる。出生後間もない新生児の現症歴は,生まれるまでの母体・胎児情報および出生時の情報に他ならない。赤ちゃんにケイレンがおこったからと呼ばれた小児科医が,出生時の経過を全く質問せずにすぐに治療を開始することがあるが,新生児期におこる問題の多くは,出生前情報によっておおよその診断がつくものである。特に超音波や羊水分析による出生前診断の技術が向上した今日,すでに生まれる前に診断のみならず治療方針まで定められて出生する児も珍しくなくなっている。したがって母体・胎児情報の正しい読み方は,新生児診断学上極めて重要なものである。
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