連載 水引き草の詩(うた)—ある看護教師の闘病記・10
病床不安
藤原 宰江
1
1岡山県立短期大学
pp.76-79
発行日 1989年1月1日
Published Date 1989/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661922183
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
「ああ,クルシー」
「痛い! いタタタタ……,いたーい」
「もういい,死んだほうがましだ」
「なんとかしてください」
「ウゥー,ウゥー,ウゥゥゥ……」
ひどい大病を患う時や,癌のような死病の末期に,患者はこうした呻き声をあげる.病気がもたらす痛みや苦しみは,時に耐え難い責苦を与え,そうした煉獄(れんごく)のような苦しみは,病人にとって最大の病床不安となる.
Copyright © 1989, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.