連載 日常ケアを見直そう—「助産学」の確立に向けて・4
お産と環境
宮里 和子
1
,
園生 陽子
2
,
菅沼 ひろ子
3
,
柴田 真理子
4
1順天堂医療短期大学専攻科
2聖母女子短期大学専攻科
3前:聖母病院
4東京都立医療技術短期大学専攻科
pp.682-687
発行日 1994年8月25日
Published Date 1994/8/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611901083
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
このままでいいのだろうか産みの場は?
鉗子分娩や吸引分娩,会陰切開などの手術的操作が行なわれる可能性に備えて,分娩室は最終的には手術室と全く同じような環境とすることが望ましいとされていました。したがって,今日でも分娩室の管理では清潔・感染予防に留意した内装,室温・湿度・照明など人工的な環境,MEをはじめとした器械・器具を含めた備品や設備は,救急事態を想定して整備されていることがその要件とされています。
1955年当時,現場で働いていた筆者にとって産みの場のイメージは,冷たいタイル貼りの部屋に産婦が入ると同時に,煌々とした照明が灯り,器具の金属音や器械の信号音,人の声やドアの開閉音などの喧騒に包まれた,力に満ちたところでした。分娩の進行を見守る助産婦はどのような変化をも見逃すまいと「ライトを照らして!腰枕をあげて!」と指示をしていました。
Copyright © 1994, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.