視座
共感と医療
竹下 克志
1
1自治医科大学整形外科
pp.3
発行日 2015年1月25日
Published Date 2015/1/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408200086
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恩師である故黒川髙秀先生はある時,医局員に向かって“早く結婚して,家族を持ちなさい.子供はいいぞ.親の子供に対する慈しみが心底わかるようになる”と言われたことがある.独身だった私の心に強く刻まれた言葉である.まさしく真実であるが,堅苦しい今の社会では,早とちりの若手からセクハラだ,パワハラだと言われかねない上司の言といえるかもしれない.
二番煎じであるが,医学部卒業生の会でこんなはなむけの言葉を贈ったことがある.“年をとるとロクなことはないが,良いこともある.外来の診察でおばあちゃんの膝が痛い,腰が痛いといった,ともすればうんざりしてくる訴えが,わが身に起こるようになる.お年寄りの気持ちがどんどんわかるようになることだ”.“メタアナリシスによると,慢性腰痛のリスク因子として低教育がある”などと普段わかったように言っている痛みの話である.
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