母乳育児Q&A
Q 母乳育児推進の方略は[その3.自己管理の完成にむけて]
根津 八紘
1
1諏訪マタニティークリニック
pp.755
発行日 1988年9月25日
Published Date 1988/9/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611207466
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A 自己管理の確立には,やはり退院後の継続ケアが必要となってきます。しかし,現在のところまだ,ほとんどの施設では退院後の母乳育児に対するケアを行なっていないのが現実のようです。そのため,たとえ入院中の指導が十分なされたとしても,1か月健診に来院した時には,かなりのお母さん方がミルクに頼るようになってしまっています。赤ちゃんが泣くから,母乳が足りないと思ってミルクを与えてしまった,姑からミルクを足すように言われたから与えてしまった等々,相談する場が無いために,容易にミルクを与え,そのうち,母乳を飲まなくなって自然断乳という,入院中の母乳育児指導とは似ても似つかぬ結果となってしまうようです。このようなことのないよう,当施設では助産婦による乳房外来や相談室を設け,退院後の指導やさまざまな相談を受けやすいようにしています。下表は,5%G1やミルクの補充の基準ですが,この基準で退院後のフォローをしています。異常に対しては医師と一緒に検討し合います。
特にうつ乳の原因の一つ,乳口部水疱に対しては,直母をし続けると難治性の乳口炎(ときに白斑と呼ぶ人がいますが,白斑は医学用語でLeukoplakieという前癌状態を示す言葉ですので,使用しないでください)になり,慢性のうつ乳や乳腺炎の原因となりやすいため,特に注意をしています。
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