特集 帝玉切開--最近の動向
帝王切開—その現状と問題点
関場 香
1
,
占部 清
1
1岡山大学医学部産科婦人科学教室
pp.450-454
発行日 1988年6月25日
Published Date 1988/6/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611207395
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はじめに
従来,わが国での妊娠分娩は,経験を積んだ女性の手により介助され,取り扱われてきた。この仕事は,現在の助産婦に引き継がれているが,最近の妊産婦管理は,ほぼ完全に産科医の手に委ねられるか,あるいはその指導の下に行なわれている。
妊産婦管理のこのような変化の原因には種々の理由が考えられるが,その最大の理由の一つは,分娩に対する手術的介入の必要性であろう。分娩に対する手術的介入といっても,かつてのそれは,除胎術や切胎術など,むしろ児を犠牲にして母体を救うというものであり,それほど緊急を要するものではなかったものと思われる。本格的な産科医の分娩への介入は,鉗子手術と帝王切開の普及とともに始まったと考えられ,特に帝王切開は,ある種の異常分娩時に,母児双方を救命するための唯一無二の手段であり,迅速にこの手段を行使できない場所での分娩は危険であるとの認識が確立されたためであろう。
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