特集 経腟分娩vs帝王切開—分娩様式の選択と対応—
1.帝王切開の最近の動向と患者希望による帝王切開
早田 英二郎
1
,
中田 雅彦
1
E. Hayata
1
,
M. Nakata
1
1東邦大学医学部産科婦人科学講座
pp.541-547
発行日 2020年6月1日
Published Date 2020/6/1
DOI https://doi.org/10.18888/sp.0000001293
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
わが国の帝王切開率は,妊娠の高年齢化とそれに伴うハイリスク妊娠症例の増加を背景に,最近30年間一貫した上昇傾向を示している。世界的にも同様の傾向にあり,主に新興工業国においてその上昇率が顕著である。そのなかには,医学的適応によらず,妊婦が自ら希望して実施される帝王切開の増加が推測されており,WHOは過剰な帝王切開の実施を抑制するよう提唱している。わが国の,経腟分娩を基本とする分娩様式の文化や医学的適応を最重要視した帝王切開の選択は,不要な帝王切開を増加させることなく母児の予後を改善させてきた。国際標準にも合致するため,今後も現在のような分娩に対する考え方が継続されることが期待される。
Copyright © 2020, KANEHARA SHUPPAN Co.LTD. All rights reserved.